■鬼哭街■      2002・03発売   Windows


 出会いは街角突然に、なんて今時漫画でもやらねーよ!な展開てなもんですが、
思い起こしてみれば出会いはすべて偶然の産物なのだ。
 
 鬼哭街、名前だけは知っていたんですよね。
ゲームサイトに記事が載っていましたし。
 そのときはなんの興味もなく流してしまったわけですが、後になってこうも嵌るとは
お釈迦様でもまだ知らぬってっもんです。


 このコーナー、感想文なんで知っている人しか読まないものなんでしょうが、ネタバレ
してもいいとか、暇つぶしにという未読の方も対象に書いております。
くどい説明がありますが知っている方は読み飛ばしてください。


 このソフトはノベルです。
 そうノベル。分岐選択いっさいなしの電脳紙芝居。近年主流の選択分岐型ノベル形式ですら
ないのです。小説に絵と音楽、効果音がついた作品なのですが、自分が行を送りキャラクタが
アクションを起こすのにあわせて、音楽やら効果音が鳴るというのがなかなかどうして良かったり。
 映画やアニメを観ていたって同じ現象は起こるのですが、それとは微妙に違う印象があります。
 ボタンを押して行を送らねば先へは進めないこところがポイントなんだろうか……


 簡単なストーリーを述べますと、

 肉体機械化の技術が進む、時は未来の場所上海。
 犯罪結社青雲幇の凶手(暗殺者)であった孔濤羅(コン・タオロー)は、仲間の裏切により
死線をさまようこととなる。
 命からがら戻ってきてみれば、唯一の肉親である妹は殺されており、その精神は非人道的な
手段で電子化され分割、5体のガイノイド(性玩具用アンドロイド)に積まれていると知る。
かつての仲間は、今や幇会の香主として栄華を極めているのであった。
 仇は5人。
 失うものなど何もない。
 身に帯びるは倭刀一振り。ガイノイドに封じられた妹瑞麗(ルイリー)の魂を取り戻すため、
単身、孔濤羅は復讐の路を進みはじめる……

 てなかんじでございます。
 ファントムとヴェドをやった時点で買う気はあったのですが、オフィシャルHPで紹介を見たとたん
俄然やる気に。
 このゲームの何がツボって中国武侠物ってところがヤバかった。
香港映画にとち狂ってからというもの、原作やら時代背景が知りたくて金庸や古龍だのを
読み漁り、武侠小説にも嵌ってしまった私には抵抗不可能でした。うひー。

 ソフトを開けば、期待通りに丁々発止の激しいSE。
鋼のボディと刀との、火花飛び散るガチンコバトルが繰り広げられておりました。
 サイボーグ相手に単身生身で立ち向かう孔濤羅。
得物の倭刀それすら道具でしかなく、真の得物は内功紫電掌。
 何しろ相手はサイボーグ、腕を切り落とそうが傷つけられようが機械ですんでへっちゃらぴーっ
てなもんなのです。
 そこに物言うのが紫電掌なるこの絶技。平たく言えば電気攻撃ですやね。
肉体を機械化したサイボーグ共にとっては、一発昇天のヤバい技ってぇもんです。
 こいつを切り札として濤羅は敵を屠っていくわけですが、この紫電掌。
絶大な威力があるかわりにただでは使えない。
使うごとに使用者にも深い内傷を負わせてしまうんですな、これが。
なので復讐を成せば成すほど、濤羅の身体はボロボロになっていくのです。
 それでも濤羅は復讐をやめることはできないわけですよ。
妹が再生されていくのを見てしまった今、己を犠牲にしても取り戻したいものができて
しまったのですから。
 
 燃える! これでもかってぐらい燃えまするーッッ!!!

 冷静に見るとバカすぎてびっくりどっきりなギャグにしかならん戦闘シーンってなもんですが、
脳内カンフーに侵された私にはもはや燃えとしか映りません。
かっこよすぎだあんたッ!描写された戦闘シーンが敵味方問わず最高にかっこいいのです。
音楽と画像とテキストが上手にからんでおり、これがかっこよさを引き出しているんじゃない
でしょうか。

 音楽は現在サントラリピート状態で、毎日かかってます。
最初ソフトを立ち上げたとき胡弓入りの曲がかかるのですが、これがまたドンピシャですやね〜
これから紡がれる物語に哀切が含まれているのを予感させます。
 ED曲は中国語バージョンが聴いてみたいなぁ。
 どの曲も曲単体で聴くとあまりピンとこないものなのですが、作品と併せて耳にするとどれも
「これしかない!」という曲に聞こえてきます。
作品のサウンドとしては合格ですよね(^^)

 各キャラに通り名がありまして、そこがまたいいんですな。
例えば

朱笑嫣(チュウ・シャオヤン)
人呼んで「羅刹太后」(らせつたいこう)

といった具合についており、頭の中では千葉繁氏のナレーションが始まってしまうっていうか
誰かとめろ(笑)

 戦闘シーン、中国武侠物になじみがない方にはピンとこないものもありましょう。
そんなあなたに金庸の作品をお勧めいたします。
本屋さんで一番手に入りやすい武侠小説ですし、なにより面白いです。
 この手のものの映画もたくさんあるのですが、どのレンタル店行っても必ずあるであろう
映画なら「グリーン・ディスティニー」ですかね。
軽功も丁々発止も点穴も描かれています。この映画の軽功はちょっとやりすぎで、
点穴の使い方も地味なんだけどもね。
 漫画でいえばNARUTOに出てくる日向ネジが点穴使って戦っています。


 このビジュアルノベル、プラットフォームはエロゲで出ているわけですが、かわいい女の子
はガイノイドだけで、あとは兄ちゃんと姉御です。
 案の定、お母さん、軽井沢から碓氷峠への途中で落としてしまったエロはどこへ行って
しまったのでせうねってな中身になっとります。

 私は初めてみた。
 主人公が下半身逞しくしないエロゲをな(笑)

 唯一の萌えであるガイノイド達もどれも個性がなくてしょんぼり。
 妹の魂を使って造られているのだから、妹らしさを彷彿させる何かしらがあってもいいかと
思うのですよ。喜怒哀楽だけでも4種類ありますし。
 まぁ精神の分割がそう都合良くいくわけがないので、正しいっちゃあ正しいのですけども。
 唯一個性を見せたのが呉榮成(ン・ウィンシン)のペトルーシュカぐらいで、それも性格的な
個性ではなく、他のアンドロイドと違って戦闘用アンドロイドだったからという理由なのでした。
バトルとしてはかなり気に入っているのですけども。
 四肢を裂かれて変形していく様子は禍々しいし、夢に見そうなおそろしいCGもナイスでした。
怖いけど好きなんだよなー。
 いかにも小物っぽいこの呉榮成との戦闘が、一番濤羅を追いつめていて、空中戦だわ
秘技開眼だわで激燃えでした!

 ってまた戦闘燃えなのか私は。
 もう一度クギ刺しておきます。萌えやエロはかすかです。
 えち描写のテキストもちっとも官能的ではなく、明らかに重点はそこにはないとわかります。
で、バトル描写は激燃えなわけです。
 おわかりいただけましょうか。ここにあるのはあるのは萌えじゃなくて燃えであると!!
↑それでいいのか(笑)

 このニトロ3部作はPC18禁という指定ながら、どれも萌えやえち要素は低くてむしろ燃えという、
いささか風変わりな作品になっております。
それなら全年齢で作れるかというと無理な気がするんですよね。もちろん商業的な理由も
あって18禁エロジャンルなのでしょうが、構成パーツや表現方法などを含めて大人向けだと
感じています。
 ガイノイドという設定をみて「あーここでエロっとくわけだね?」と、半分呆れに似た感想を
抱いちゃったわけですが、終わってみれば「この設定でなければここのセリフの怖さはでないな」
などと思えますので、サービスではない進行上必要性のある性描写であるといえましょう。


 と、都合のいい擁護はこのくらいにしてキャラ感想にいってみましょう。
 てーかここからが本番だ(笑)イカれているのでお覚悟めされよ。

 一番手は主人公孔濤羅(コン・タオロー)。
 一番手、なんて軽く流してますが、わたくしキャラ絵からしてすっかりやられております。
日本刀におんぼろロングコート、眉根を寄せた労咳病みの風貌たぁ
あななたちあたくしをどうするおつもりッ! とゆーかんじで初っぱなからいいように
弄ばれてしまいました。あうーん。
 ビシャス+蒼紫みたいなカンジでうすかね? ←言うな
 実写でやるなら芥川龍之介でよろしく! ←無理です
 で、にょろりにょろりと読み進めてみると、この死神みてーな顔が口元ゆがめて悪魔みたいに
ニヤリと笑うのですよ。
 ぐ……ちょっとツボ押されたぐらいでニヤついていてはいかん、いかんのだせつがよ!!

 ラストバトル、血まみれ濤羅のCGでトドメ。(カーン)

 なぁーーー!! 色っぽいんじゃおのれーーーーッッ!!

 はぁはぁ、お……落ち着けわたしー。
落ち着かないと余計なことまで口走ってしまうよー。

 (深呼吸)

 ごめん、こいつとんでもなく色っぽいわ。ええもう逆ギレしそうなほどに。
 選択肢のない路を行かねばならない、待ち受けているのは死とわかっていても引き返せない
哀しさも相まって色気120%
 この男、血に濡れれば濡れるほど色っぽい。それはきっと己の血ではなく返り血だとしても。
 原画の中央東口さんの男キャラは骨っぽくて、これがまた色気倍加装置と化しているのですよ。

 あとな濤羅さんやたら受くさいねん……
なんだろう、この受オーラの濃ゆさは
 ラストバトルでは精神的にもいたぶられちゃったあげく、豪軍に向かってあの表情ですよ。
涙声で「やめろ……」と懇願しないでください。
どんどんダメになります、私が(笑)
 こいつが女とつきあっているところを想像できないというか、やはり女が攻になるんじゃないか
という気がしてならない。精神的にもね。

 こんな暗黒が待ちかまえていたなんて、プレイし始める前は考えてもみなかったわさ。
つまるところエロゲの男キャラに色っぽいなんてなにやってんだアタシという、自分に対する呆れ感情
で胸一杯に、いっぱいに……
……なにかの、何かの間違いだと思いたい……ッッ(泣)

 そんなに色っぽい彼でもシスコンだったりするのですが(笑)
いや、シスコンいうより妹大好きっ子とあえて言いたい。
 暗殺の仕事も、家に帰れば妹が迎えてくれると思えばこそできた、なんて語ってますよ。
贈り物をするのだってどーしていいかわかんないんわけですよ。
プレゼントもらってうれし泣きした妹相手に、オロオロしちゃうわけです。
 しかしながらどんなに好きでも血の繋がった兄妹なわけで、兄ちゃんとしての感情しか持ち合わ
せていなかったわけですよ、濤羅は。
 少なくともそれ以上の感情は無いものとして生きてきたわけですが、どっこい妹はそうじゃなかった。
 妹の感情に気づかなかったのが原因で、江湖を股にかけた大痴話喧嘩に発展することに
なったあたりがダメでよいです(笑)
 そんな鈍ちゃんでダメなところも魅力なんだよなぁ、コイツは。
 かっこよいのですが、濤羅、あんたザコにまで紫電掌使ってるから苦しくなるんだよ、とつっこみたく
なったりもしたな(笑)

 途中妹に喰われそうになるシーンがあるのですが、ある意味あそこで喰われちゃったほうが
ハッピーだったのではなかろうか?という気がします。
 逃げるも目を背けるも気づかないも、言い訳無用の既成事実ができるわけで腹も据わる
というもの(笑)
 まぁキャラ的にはここでどうのこうのなってしまったら、色気ある孔濤羅というキャラはでき
あがらなかったわけなのですが。
わけなのですが、見てみたかったという気持ちがあるということに目を背けたいわたくし。
基本的に堕ちてゆく濤羅は色っぽいわけでしてん。
ああ、だからこんなはずでは……(涙)

 先ほど主人公がえち要素に絡まないエロゲを初めて見た、ということを書きましたが、
そうなのです。濤羅はエロシーンにはまったく絡まないのですな。頂かれ未遂シーンだって
テキストだけという徹底ぶり。
そしてそこがこのキャラクタの色気の一因だといいたい。
 そう脱いじゃダメなんだッ! 
 ロングコートに手袋という、肌が見えるのは首から上だけという鎧をまとったかのような服装と、
妹の想いに、妹への想いを是としない態度。喰われそうになっても抗う精神力。
苦しそうに眉根をよせて堪え忍ぶ姿が激しく絵になります。
 これでもかってくらい禁欲的ですよねぇ。
自分の身体が自分で制御できない状態は、すごく嫌なんじゃないですか、この人。
 このストイックさがあるからこそのこの色気、と申せましょう。

 こーゆータイプはたまーに素肌が見えると萌える(笑)
 それも手とか背中とかそのへんが。
 
 そんなふうに濤羅を感じている私としては、「いけないものを見てしまった」という気持ちに
させられる展開が「瑞麗に食べられちゃう未遂事件」と、キレイキレイのCGなのでした。
それと同時に「おいしい」とも思うあたりが……がくり。

 
 この物語で一番報われないキャラたぁ濤羅のライバル劉豪軍(リュウ・ホージュン)でしょう。
 二枚目だし頭も切れるし強いわで、主人公の兄弟子で親友という宿命のライバル条件を
きっちり満たしております。そんな彼ですが、江湖きっての当て馬的存在に。
 しかしながらそこで終わらないのがやつの凄いところっていうか、この人マゾで攻という難しい
性格をしておりますよ?!
 こいつと瑞麗の転機は結婚してしまったところにありますやね。
 奥さんになっても瑞麗は絶対心を開かないわけじゃないですか。瑞麗は兄貴のことを男として
愛してしまっているわけですので、豪軍がどんなにつくしても優しくしてもそこに価値はないわけです。
きっぱりはっきり拒否られるのですが、それでも自分に笑顔を向けてほしい、愛おしい。
 嫁さんが「禁断の愛」に煮詰まっていく中、豪軍もまた煮詰まっていくわけです。
 濤羅を裏切るという行為にでたのは、自分のためじゃなくて嫁のためだかんねー。
尽くして尽くして尽くし抜いても自分に見返りはなく、むしろ棘の道なんだから、やはりMっ気がある
としか(笑)
 瑞麗の気持ちが兄貴に向かっていると気づいたならば、鈍ちゃん濤羅に教えてやれよってなモン
ですが、江湖で生きていく人間はとにかく面子を気にするようなので、嫁にもらった以上そんなこたぁ
口にできるわけがないですわな。
 武術の腕よりも頭脳を買われて幹部になったのだから、それらしいシーンを見せてほしかったなぁ。
はっ、この計画が「鬼眼麗人」と言われる所以なのか? ←ちげーよ
 すべてを知っているただ一人の人間だったわけで、知ってしまったがゆえに苦しみ、そして壊れて
いったんでしょうな。あんた、馬鹿だったらよかったんだよ……(;;)
 
 あとなんだ、素肌に長衫はやめてください(笑)
てかあれは長衫ではなくロングコートじゃないのか?!


 ラスボスは妹だと思っているのは私だけ?
彼女がこの作品最強の攻でございます(笑)
 
 世の中の妹属性の方々は、こんな妹もOKでございましょうか?
私は彼女が怖いんですけども(汗)
 最終的に誰が想いをとげたかっていうと彼女であり、彼女のために兄貴と旦那は動くわけです。
それによって瑞麗の願いは成就されるわけですが、この願いとは究極の自己完結というオチ。
 二人が幸せと感じるのならそれもありなんでしょう。
 が、ラストの濤羅は本当に濤羅なのかという疑問がわいてしまいました。
妹大事といっても剣に生きてきた人間が、それを奪われて何も感じないものなんだろうかと。
「剣と瑞麗あっての濤羅」なわけで、まさに「瑞麗のことしかない濤羅」は元の濤羅ではない
よねぇ……
 濤羅の魂は処置を施すまでに相当痛んでいるわけで、量子化された濤羅は「元の濤羅」
のままではないんじゃないかと考えてしまったのです。
だからこそ一番大切な瑞麗を想う魂が残ったとも取れるのですが、私はむしろ瑞麗は
「瑞麗を想う濤羅」な部分だけを取り込んだんじゃないか、という気がしてならないのです。
あの世界に「剣に生きる濤羅」は必要ないのですから。
 ああ、ますます怖い考えなってしまった(笑)

 そしてそれと同時に、相手を自分の一部にしてしまうという行為はとても官能的でした。
ようするに瑞麗は濤羅を食べてしまったと、そういうことなんですよね。

 濤羅は結局、瑞麗を女と見ることができたのでしょうか。
瑞麗と一緒にいたいと願ってはいるものの、それは女性としてなんだろうかと。
最後は超寂しん坊さんだったうえ、瑞麗の中に母を見ているような気がしたことも手伝って
よくわかりませんでした。
私のケツが青いばかりに(笑)

 エンディング後、物理世界の瑞麗はいったいどうなってしまったのか、いろいろと想像を
めぐらせてしまいます。
 個人的には瑞麗の身体はもう動かないんじゃないかと。
それは障害がでたからかもしれないし、そうではないかもしれない。
 どちらにせよ瑞麗にとって現実物理世界は用なしであり、身体を動かすことに意味はない
のです。 極端なはなし、濤羅と「一緒になった」瞬間に瑞麗は完結してしまっている。
その先は「ない」んですよねぇ。

 ……やっぱ地獄?あのEDは(汗)
 桃の木に囲まれているってのも薄ら寒い要素です。
「桃源郷」なんて言葉を考えると、あの絵は二人の桃源郷を表しているわけで。
桃源郷なんて、入ったら出てくることができない場所の代名詞みたいなもんですやね……


 キャラクタの名前は適当につけたのか、それとも元ネタがあるのか気になります。
知っている俳優と同じ姓名だったりすると、思わず顔がにやついてしまう〜
 私の知っている範囲なんて無いも同然なのですが、それでも元家英なんかはぶっ飛んで
しまいました。やはり兄者は元オペラ歌手でヅラなのでしょうか?(笑)
 呉榮成の苗字はやっぱり呉宇森(ジョン・ウー)からなんだと考えてしまうわけでして。
作品の傾向を考えるとこう推測したくりますよね?(笑)
 名前は広東語読みみたいですが、豪軍なんかは普通語みたい。
(このキャラ、風雲からじゃないだろうな(汗))
上海は広東語圏なのか?うーん、中国語全般得意な方のお話を伺ってみたいところ。
 作中過去回想シーンが出てきますが、これが近未来物な本作を裏切って、風俗は思い切り
過去に飛んでます。兄ちゃん髷結っとるよー。
 個人的には古装片で1本作っていただきたい(笑)
 このあたりかっこよさ優先で作られているのかもしれないのですが、調べてみると抽斗やパーツが
増えるので、自分で色々な想像をめぐらすのが楽しくなります(^^)


 選択肢なしのノベルソフトということで、購入に不安もあったのですけど、あけてみれば
大はまりしているこの現実。
 脚本監督の虚淵玄さんは「思いっきり素で書いた」的発言をなさっているのですが、その「素」が
私の直球ど真ん中ストライクだった場合はどうしたらよいですか?(笑)
 色っぽいだの攻だのアホなことばかり書いてきましたが、この作品のキモっていったらやはり
絶望感なんじゃないでしょうか。
 幾人もの命を手にかけ人であることすら捨てたのに、ことの原因はすべて己にあるとつきつけ
られるわけです。突きつけられた現実から目をそらすこともできない、けれども認めてしまったら
己の世界は崩壊してしまう。剣ひと筋に生きたがゆえに、愛する人たちを壊してしまったと言われても、
残ったものも逃げ込むところもそこしかないわけです。
 なんちゅーかこうやるせないです。哀しいです、不器用です。
 こんな結末なものですから、やたらと余韻を引きずりました。

 重くてシリアスで暗い話に炎を燃やせるかたにはお薦めノベル。
おすすめどころかむしろやれ。←命令形ときた
 ニトロ3部作はどれもこんなテイストなので、「いける」と思った方は迷わずプレイすることを推奨
します。天国へ行けることうけあいです(笑)←地獄かもー

 あとエロや萌えは微々たるものよと書いたのですが、えっちだな〜と感じる要素は、直接的な
エロ描写だけじゃないですよね。
 個人的に兄妹親友ともども、人を捨て狂うほどの情念ってのはとてもえっちぃ。
そんなところにエロを感じてしまう人には大いにエロゲだと思います。
 そして女子に対しては萌え的要素大ありかと。
 とくに流血属性とか兄属性がある人にとってはパラダイスと申せましょう。
あとロングコートとか苦悩あたり?
眼鏡っ男(と書いてめがねっこ、と読め)属性の人も、渋いオヤジが出てくるのでカバーかな。
 ただ素の女視点で読むと本当にアホな人たちの話しなので、そこのところは切り替えて読む
こと。ダメなところが愛おしかったり、燃えがわかるのも楽しむための要素です。


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