復活の地3巻感想。

 震災復興物を読んだ直後に地震が起こると、いつもより恐怖感倍増。
 そして復活読書中に熱が高くなりダウンしたわたくし。アホだねアホ。
アホだけども月曜日が締切だったので、日曜日にへろへろになりながら
仕事しました。
 
 夕食中にテレビをつけたらSAMURAI7の2話を再放送していて、日本シリーズ
延長で観られなかった私は、ちょっとだけ元気になりましたとさ。

 

プラネテスネットラジオ更新

 ネットでプラネテス第4回が公開されています

 でもって今週放送の15話ですが、地震関係の番組のため放送日変更となりました。
次回は11月11日放送、2週間お休みです。
NHKはちゃんと最後まで放送するので安心してください(笑)

 もうひとつプラネ繋がり。
 プラネテスの脚本を一手に手がけた大河内一楼さんの次の仕事は、
「魔法先生ネギま!」のアニメ。
 正反対向いた仕事するんだなぁ。どんな芸風を見せてくれるのか。

 

SEVEN-BRIDGE情報更新

 ライアーの新作セブンブリッジの情報が公開されています。
 カラーのキャラクタ達を初めてみた。中村さんの描く眉毛太いっ子は
いいですね。主人公は暗い表情ばかりなのですが、世をすねていそうな
かんじ。
 めておさんはメインライターではなく、どちらかというと監修的立場なのかな?
 音楽はいつものノーブランドサウンズではありません。
いい音楽が聴ければいいけど、いつものお約束がないということもあって、
ちょっとだけ寂しかったりします。

 

 

復活の地3巻読了

 あ、あれ? これ燃え小説だっけ? 災害復興燃えSF? と首をかしげる
くらい燃えました。
 今まで小川一水さんの小説では第六大陸がベスト1だったのですが、

 復活の地がぬりかえた。

 あ、でもやっぱり第六も導きも大好きだ。ぬー。

復活の地〈3〉
小川 一水

by G-Tools

 アマゾンの書影は帯まで入ってるのか(笑) 

 終盤のうっちゃりもなく、すとんと綺麗に終わってます。
 敵はサイテンでも諸外国でもなく、メインキャラ達は震災に向かって
闘います。ドンパチのない闘いを繰り広げるキャラ達が最高に熱いです。
 第六大陸もドンパチのない燃えがありましたが、第六で薄かったキャラクターの
魅力がありました。主役二人の関係ががっちりツボに入ってしまい、なにかする
たびに燃えて萌えて、殺されるかと思った(笑)
 挿絵マジックも味わえます。そうか、そういう絵なのかあれは(笑)

 地震発生に関するSF的なものよりも、人々の災害との闘いに重点が
おかれています。そこがメインでありあとはおまけともいえる。
なのでSFが読みたい方には物足りないかもしれません。
 私は人の行動や生き様が気になっていたので、こちらがメインでとても
楽しめました。
 ただ今回はメインキャラの活躍よりも、名もない人々や都市、政治の流れ
に描写が割かれており、なかなかメインキャラが出てこなかったりもします。
 それでもきちんと話しは進むんだが、クノロック公爵なんかは出てくるまで
存在すら忘れていた。活躍したっていえるのはスミル殿下ぐらいなもので、
あとはみな裏方にまわり、作中のセイオが言うように、主役は名も無き人々
となっています。

 キャラクタも気に入っているのですが、やつらとのデートはこれっきりなん
ですよね。寂しいなぁ残念だなぁ。
 夢までみちまったよ私は。
小川一水作品のファンサイトがあって、そこでは他のサイトさんの更新状況
なども網羅してるんです。なのでそのニュースサイトに行くと、イラストとか
二次創作小説など、たくさんのリンクをたどれるのですよ。
 いやほんとうに、うち以外で絵とか小説載せてるサイトはないものか。

 いつものようにネタバレ感想はリンクで隠します。
 過去ログ機能等を使って閲覧するとリンクで隠した部分が見えてしまい
ますので、自衛をお願い致します。

 読了後スカーっとした気分になって、とても良い読後感を味わえました。
 誰かに押しつけられるのではなく、自発的に行動する名もない人々が
実にいい。1巻の震災風景を知っている今、この光景がとてもたくましく見える。
 そして人々がそう動けるよう、基盤作るメインキャラ達が最高にかっこいい
んですわ。あんたら全員かっこいいよ。
 2巻でメインキャラはみな”覚悟完了おニューの俺よこんにちは”してたから、
3巻はきっちり成長したあとのセリフが多いのです。
ここがまたかっちょよくってなぁ!
 個人的な3巻かっこよさランキングでは、スミル殿下がトップを取りました。
意志の強い眼差しと凛とした姿勢、口からでるのは燃えゼリフばかりだ。
 各人覚悟完了しているせいか、自分の仕事をやりましょう的展開になって
いて、物語は一気に結末へと向かいます。2巻で葛藤はすませてしまったから、
そういった「あがき」みたいなものはないんだけど……
そこでセイオの感情ですよ奥さん(笑)

 覚悟完了したメインキャラにあって、最後まで残っていた課題が公人の私情
でありまして、スミルピーンチという時にあって、セイオは身動きとれなくなる
わけです。やるべき義務と感情の板挟みってやつですね。
いいねいいねー、苦悩するセイオ。萌え所だ(鬼)。
 なんだけど、ここを突破するイベントとしてソレンスの鉄拳ぶちかましが
始まり、「人ひとり助けられねーで、なにが帝都を救うだこんクソ閣下!(意訳)」
と言い出したときには、あまりの熱さに私がついていけるのかが心配になった(笑)
 まぁなんだ、友達のいない(笑)セイオにとって、いい部下であり唯一の友人
みたいなもんだなぁ、ソレンスは。

 セイオがスミルにたいしてどういう感情を抱いているのか、感情のうつり
かわりの過程がちょっとわかりづらい。
 きっかけはお姉さんと同じ言葉をスミルが口にしたことからだとはわかるの
ですが、まず抱いたのは尊敬と信用だと思うのですよ。そこからの変化が
読みとりにくいのです。
 考えないようにしていたのにまわりがよってたかってつっついてきて、
自分の感情に目をやらずにはいられなくなったものの、それは私情だと
押し殺すという流れなのはわかるんだけどなぁ。

 そんな男が1度だけ私情で動いた出来事が挿絵のアレだったわけですが、
この色気のない挿絵はなんだ(笑) 本編を読む前に挿絵を見たときは、
てっきりふたりどこかに閉じこめられて、死にそうになってるんだと思ったんだよ。
騙された!(笑)
 そのかわり挿絵が入るシーンの展開は、萌えて萌えて、そしてせつなくって
なぁもう! 一瞬だけあふれだした私情ですよ。
 ここは溜めていたものが一瞬だけ、そして一気に解放されるシーンだと
思っているので、私にとってはカタルシスのある場面でもあるのですが、
セイオの感情の変化が読みとりにくいため、あまり「溜め」が感じられないん
ですよね。もっとじらされていたらよりカタルシスを感じられたかもしれないなぁと。
 それでも充分ガッツポーズものだったわけですがね!
(でもこのシーン、解釈を読み違えているような気もするんだよな……)

 この色気のなさが実にらしいというか、セイオとスミルなんだよなぁ。
 この言い方は受け売りですが、この二人は向き合った恋愛ではないんですよね。
お互いを見つめるのではなく、ふたりで一緒のものを見てる。
同志であり戦友でありライバルなわけですよ。
 挿絵その後のやりとりでいかに固い絆で結ばれているのかよくわかって、
萌えと同時に燃えてしかたがなかったよッ。
 スミルのまっすぐな姿勢と目つきがいいね。それを受けてニヤリと笑うセイオ
という構図は、最後の覚悟完了シーンということもあって、とてもとてもテンション
が上がりました。

 セイオはスミルの前でだけは泣き言を出せるんだよなぁ。
もしかしてスミルが「セイオ」と彼を呼ぶのは、ここが初めてですか?
 他にも名前を呼んでいる所はありそうなんだが、記憶にあるのは
「ランカベリー」と呼んでいるところだけなので。
 どちらにしてもめちゃめちゃラブ。はー、ごちそうさまでした。

 思うところはある。
 殿下は18歳の娘さんなので、少女らしい夢もみさせてあげたかったなー、
とか。初恋にしてすでに悟っちゃってるからな、殿下は。
 本人達はそれでよしとしているけれど、なんていうんだ? 親心?
(どうなんだそれは)
 かわゆくきゅーんとなっている殿下とか、見たいじゃないですか。
そいつを引き出せるのはセイオだけだというのに、ふたりして鉄壁っぷりが
すごいため、おたくお得意の脳内妄想でもろくなもんが出てこない。
がんばれ私の妄想力(笑)
 
 最後は別々の地に赴くわけですが、見ている方向はやっぱり一緒で、
離れている間にきっちり成長しておくから、次に会ったとき驚かないよう
あんたもがんばれという宣言なんだろうなぁ。
 スミルは1年後、女っぷりをも上げて帰国するという妄想がわいた(笑)

 そのままでいいのか? と思うところもありました。
 スミルの姿がジャルーダ人の古の王と似ているというイベントは、
たいして問題にならずそれきり出てこなかたったし、サイテンの幕引きは
ちょっと彼らしくないようにも思えるのです。
 選挙であっさり再当選してしまうあたり、とてもサイテンらしいしたたかさが
あったのですが、結局はもう政治舞台へと登場してこないという結末になって
おり、いささかきれいになりすぎている感がありました。
 ひとつぐらい黒い点があったほうが、これからも張り合いがありそうななぁと。
ライバルの消失みたいで寂しかったんですよ。
 スミルが暴徒に襲われたときに感じる、都民に対する失望感ととまどいは、
その後の展開に流されて決着がつかないままでした。
 これと同じ展開をセイオでやっているので、2度はやらんということなんかな。

 以下雑感を羅列。

 ・グレイハンの死に際のセリフ、「軍人は敵の前で死ね」というのは、
  グレイハンというキャラをとてもよく現していたなぁ。
  ここは同時にソレンスの見せ場でもあって、いいセリフ言ってました。
 ・ソレンスといえば挿絵にあるソレンスの笑顔がとても黒く、最初挿絵だけ
  確かめたときは「裏切るのか!?」と本気で思った。
  そしてこの男、きっと一回り下の奥さんをもらう(笑) ぎゃー。
  キャラ的には便利に使われてるなーと思います。
 ・サユカの年齢は15歳ということなんですけど、復活ワールドの文化風習って
  どうなってるんでしょうね。成人は何歳? 結婚適齢期ってどのくらいに
  なっているのだろう。
  サユカは15にしては大人びているのだけど、これは環境からなのかなぁ。
 ・シンルージ都令がこんなにかっこよくなろうとは、1巻からは想像もして
  ませんでした。
 ・坂本真綾さんの「奇蹟の海」を聴いていると、頭の中で復活OP映像が
  流れます(笑) 勝手にコンテきってるらしい。
 ・スミルの声は相変わらず桑島法子さんの声で再生されております。
  男性キャラの声は響いてはくるものの、誰の声なんだかわからない。
 ・髪の毛が短くなったスミル殿下は、ちょっとばかり幼く見えるのですが、
  年相応に見えるようになったんでしょうな。
 ・腕を失わずとも髪は長いままでも話しは進められたはずなのに(書けない
  エピソードも出てきますが)、なぜそうしたのか。
  セイオの右腕喪失とスミルの断髪、どちらも今まであったものを失っており、
  生まれ変わりの儀式であったような印象を受けているのですが……さて。  

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