フリーランチの時代感想

 ・Googleマップのストリートビューがすごい
 なにがすごいってネットで散歩できる。とりあえず自分の家までこんにちは
してみた。会社に行ったら私の車が止まってた(笑)
 表示される風景画像もぐるぐると回せてしまう。久々にネットってスゴーと
思うコンテンツだわ。

 ・小川一水さんの「風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記」は
8月8日から8月22日へ再延期。
 書影がでないからおかしいとは思っていたんだけど延びました。
 ハガレン20巻と一緒に買うことにする。

 ああ、レーズスフェントの前にフリーランチの感想を上げようとがんばって
いたのになぁ。あまり意味がなくなってしまった。ちょほー。

 ・コメントの返事はまた後日。

 

フリーランチの時代感想

 「フリーランチの時代」読了。
 前短編集「老ヴォールの惑星」は短編ながらも濃ゆい話が多かったの
ですが、今回はライトな印象です。「妙なる技の乙女たち」に近いかな。

 
 1本目「フリーランチの時代」は読み終わってみるとタイトルから仕込みが
行われていたのだと気づく。そっちのフリーランチなのか。
 火星人にあっさり侵食される地球人の話。自分が内容にある選択を
迫られたとしたら、こんなかんじにあっさり軽く「うん」と首を縦にふって
しまいそうである。

 「Live me Me.」は事故で植物状態になった女性が、技術によって動く体を
手に入れる話。
 人誌の再録で既読のものだったのですが、読み比べるまでもなく加筆されて
おりかなり印象が違います。
 当初のものは女がそりゃあんまりだってぐらいドライでストロングだった
んだが、加筆されたことにより好意的に受け取れる逞しさに変わっていた(笑)
 変わったところはあれど発表当時に抱いた感想は変わらず。
この短編集の中では抜群の気持ち悪さ。己の全てを機械へ置き換えていく
ということが気味悪いのではなくて、技術によって以前の姿に近づいていく
というまっとうな盛り上がりがあるのに、同時に「己はどこにいるのか」という
強い不安感がある。常に不安感がつきまとうためなのか
気持ち悪くなってくる(笑)
ラストらへんは主人公のおののきとシンクロ。結末としてはガッツのあるエンド
だとは思います。

 「Slowlife in Starship」は初出からタイトル変更。初出タイトルは
ハイフライト・マイスターでした。あとで読もうとSFマガジンの切り抜きを持って
いたのだけど、結局読まずに単行本にて初読書。雑誌掲載時には挿絵が
ついていて、主人公やミヤのイラストがありました。あと猫の(笑)
 宇宙ニートとハヤブサの邂逅により、ちょっとだけやる気を出したニートの話。
この話のキモはこのまえ成功したハヤブサの打ち上げを絡めているところ
かなぁ。あと「天涯の砦」に出てくるスピノールいう組織が出てきます。
天涯を読んでいなくとも問題はないが。

 「千歳の坂も」は不死を手に入れた人類の中で、不死処置を受けない
老女と処置を受けさせようとする公務員の話。
 なぜ不死を受け入れないのか、というところからまさに千年の
追いかけっこが始まるのだけど、公務員のひたすらに仕事をする姿勢が
不気味だった。あとばあちゃんかっこいい。

 「アルワラの潮の音」は「時砂の王」スピンオフ。
 時砂本編でアレクサンドルが奴隷の娘に語ったナン・マドール巨石都市の
戦いが舞台になるのかな。アルワラ本編ではナン・マドル表記ですが
同じものかと。
 スピンオフなのでOやアレクサンドル大活躍とはならず、ETに侵略を
うける当時の現地人であるク・プッサの成長物語です。
 自分は戦士としてヘタレの烙印をおされて肩身の狭い思いをしているのに、
友人は一の戦士でその上その彼女に惚れてるという3重苦でございます。
友人を認めてはいても鬱屈した気持ちになろうともよ。
 この短編集の中ではこの話が一番ストレートな熱さを持っていたかと。
ク・プッサやアレクサンドルともに痛みや熱さがあるあたり、間違いなく
時砂のスピンオフ。もうすこし長く読みたかったなーと思わせる1本でした。

 器用にまとまっている話ばかりなのだけど、私はがむしゃらに熱い小川一水
が好きなので、読みたかったものとはちょい違っていたかな。
今までの小川一水さんの話にあった熱量は控えめでした。
 そのかわり手堅い上手さみたいなものは感じるので、こいつと熱さの
合体技を拝みたいところです。

4150309302 フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫 JA オ 6-8)
小川 一水
早川書房 2008-07

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